疑問 - 1

ブラスト加工は微細な研磨剤を高速で金属に衝突させます。

それにより金属表面の厚さ数ミクロンの部分が押しつぶされ、衝突の影響を受けない部分と比較し分子密度の高い部分ができます。

押しつぶされた部分は、分子密度に加え分子同士の密着度が高まる為「強度(硬度)」が飛躍的に増大します。

結果的に同一金属の中に性質の異なる2層が形成されたことになり、硬い部分と柔らかい部分の相乗効果により金属疲労が低減されます。

この現象は「簡易焼入れ」とか「ピーニング」とも言われ、少ない質量の金属で大きな耐久性を得られるため製品重量の軽量化に役立ちます。

またメンテナンス回数を減らすこともできます。

疑問 - 2

平坦な表面にブラスト加工を施すと物質表面には研磨剤の衝突による無数の微細なクレーターが形成されメッキ液や塗料・接着剤などの媒体に接する面=界面が処理前に比べ数倍に増加します。

またブラスト処理によって形成された微細なクレーターは、界面面積を増加させる事に加え液体をより多くその中に留め置くことができる(濡れ性が高まる)ため、液体(媒体)との間で所期の反応を効果的に行うことができます。

以上により、「界面が活性化」されることで密着性(アンカーリング)が高まります。

疑問 - 3

ブラスト処理によってできる微細なクレーターにより固体同士の面は凹凸の凸の頂点で接することになります。

つまり、接点の面積が減り摩擦は減少します。この時注意しなければならないのは接点の形状です。

鋭角な頂点だった場合逆に摩擦が増してしまうため頂点の形状を緩やかな丸みを帯びた形にすることが重要です。

ブラストに用いる研磨剤の形状や硬さを調節することで最適な摩擦力を求めることができます。

また、物体同士が密着している場合などは、無数のクレーターの中に空気や潤滑剤が封入された状態になるため更に摩擦係数は減少し潤滑性を高める効果があります。

疑問 - 4

ブラストにより形成される微細なクレーターは物質の表面積を飛躍的に増大させます。

つまり、ベンチレーションのための空気や冷媒に、より多くの部分が接することになり放熱効果が増します。

この表面積の増加=界面活性化効果はベンチレーションのみならず化学反応行う際にもその効果は大きく、メッキや蒸着さらには電極と言った様々な製品分野への応用が期待されています。

疑問 - 5

そもそも濡れ性とはなんなのか?

物質が持つ親水性の度合いを表す言葉と言えます。

親水性が高まる(濡れ性が高まる)と物質は水をはじきません。

簡単な例を挙げれば車のワックスは親水性(濡れ性)を低下させる効果があります。

濡れ性は表面積に比例して増加していくことが知られておりブラスト処理後の表面は無数のクレーターが形成されるため表面積は飛躍的に増加しています。

更にクレーターが非常に微細なことから液体をその中に保持する効果が非常に高いと言われています。

このような効果によりブラスト処理は濡れ性を高める方法として化学処理の分野に多く用いられています。

最近では水滴になった状態(濡れ性が悪い)より広く広がった状態(濡れ性が良い)の水分のほうが乾燥しやすいといったことから乾燥装置、さらにはお風呂やキッチンなどの住宅機器の分野への応用が始まっています。